
すずこまは、丸種株式会社が改良して作った、中玉トマトの品種です。
一般的なトマトとは少し異なるすずこまの特徴と、育て方のコツをご紹介します。[すずこま] ◎調理向きの中玉品種日本では、トマトは生食するのが基本となっています。
そのため、スーパーなどでは調理用のトマトがあまり並びません。
けれど、トマトは品種によって、加熱することでとてもおいしさを増すものがあります。
すずこまもその一種で、調理用のトマトとして改良された品種です。
果肉が厚くしっかりとしているため、煮炊きをしても崩れにくく、加熱によって余分な水分が抜けることによって、旨みがさらに凝縮されます。皮つきのまま輪切りにしてピザの具に、
皮を湯剥きしてトマトソースにと、様々な使い方ができます。
また、すずこまは加熱調理だけでなく、生食もできる品種です。もともと旨みが強いため、生で食べてもおいしいのです。ただ、生食を基本としている品種に比べ、
ジューシーさや甘酸っぱさが足りないので、切ったものをそのまま食べるよりも、
ドレッシングをかけたり、マリネにして食べるのがお勧めです。
オイルを使った調理法なら、すずこまに含まれているリコピンを効率的に摂取できます。
◎芯止まり性で密植可能実はトマトには、芯止まり性の品種と、そうでない品種があります。
家庭菜園でよく育てられている品種のほとんどは、芯止まり性のない品種です。
このすずこまは、芯止まり性のある品種のため、一般的なトマトとは仕立て方が異なります。芯止まり性のない品種は、主枝がそのまままっすぐに伸びていくため、
支柱を立てて主枝を支えながら育てます。
芯止まり性のある品種の場合は、最初に伸びている主枝の第2花房の先は、
ほとんど伸びずに芯止まりになります。
最初の主枝が第2花房以上は伸びない代わりに、
第1花房のすぐ下のわき芽を伸ばし、次の主枝に仕立てます。
わき芽を伸ばして2番目の主枝となった枝も、同じように、
第2花房より上には伸びないため、第1花房のすぐ下のわき芽を伸ばして育てます。
芯止まり性の品種は、このようにして第1花房のすぐ下のわき芽を伸ばし、
新しい主枝に仕立てて育てます。
そのため、芯止まり性のない品種のように縦には伸びず、横に広がっていきます。トマト栽培といえば、主枝を支えるための長い支柱が必要となりますが、
芯止まり性のある品種の場合は、長い支柱は不要です。
最初の主枝を支えるための、1メートルほどの短い支柱を立てるだけで済みます。
また、横へと広がっていくため、株間を狭めることができます。
すずこまの場合は、株間30cmほどが目安となります。
◎裂果が少なく着果性良好すずこまは、果肉がしっかりと硬めなためか、
裂果が非常に遅く発生が少ない品種となっています。
実は卵形をしていて、1個が40gほどになる中玉サイズです。
1段に6個〜8個の実が着果するので、1株でもたっぷり収穫することができます。一般的なトマトの場合、ヘタと軸をつなぐ部分に関節のように折れ曲がった部分があり、
熟すとその部分が簡単に離脱し、収穫が容易になります。
すずこまはその折れ曲がった部分がなく、熟すとヘタごと実からはずれてしまいます。
生食用として収穫するのであれば、ヘタがついていた方が見映えがしますが、
調理用となるとヘタがない方が加工しやすいため、改良されたのかもしれません。
もちろん、つやつやと濃い赤色に熟したところを、
ハサミを使って軸を切って収穫しても構いません。
ただし、収穫する時に使うハサミは、消毒をしておくようにします。
すずこまは、萎凋病と半身萎凋病に抵抗性があります。■すずこま◎特徴・1個40gほどの卵形中玉トマトです。
・つやのある濃い赤色をしています。
・果肉が厚くしっかりと詰まっています。
・調理に向く品種で、スライスしてピザの具やトマトソースなどに使えます。
・調理用の品種の中では、甘さや酸味があるため、生食も可能です。
・生食用のトマトに比べると甘酸っぱさやジューシーさに欠けるため、
ドレッシングをかけたり、マリネなどにして食べるとおいしく食べられます。
・芯止まり性の品種のため、一般的なトマトとは仕立て方が異なります。
・芯止まり性品種のため、株間30cmほどの密植栽培が可能です。
・密植栽培の場合、支柱は1メートルほどの短いもので済みます。
・溶液栽培による低段密植も可能です。
・裂果が非常に遅く、発生が少ないです。
・1段に6個〜8個の実がつき、着果性が良いです。
・果柄に節がないため、ヘタ離れがよく収穫作業を楽に行えます。
・萎凋病、半身萎凋病に抵抗性があります。
・無加温の早熟栽培、雨除け栽培、抑制栽培、促成栽培と、広い作型で栽培が可能です。
◎栽培のコツ・日当たり、土作り、水やりなどの基本的な育て方は、一般のトマトと同じです。
・芯止まり性のため、放任栽培が可能です。
・第1花房に確実に着果させ、草勢のバランスをとるようにするのがポイントです。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。 >>トマトの育て方.com
- 2020-07-04

